少子高齢化による労働力不足が深刻化するなか、新卒採用市場は完全な「売り手市場」が続いています。
マイナビやリクナビといった大手求人ナビサイトに広告を出せば学生が集まる時代は終わり、学生はよりシビアな視点で企業を選別するようになりました。
その際、学生が必ずといっていいほどチェックするのが「企業のホームページ(コーポレートサイト・採用サイト)」です。
求人媒体の定型フォーマットでは見えてこない、企業の“真の姿”を学生はホームページから読み取ろうとしています。
この記事では、最新の調査データをもとに、就活生がホームページのどこをチェックし、それがどのように志望度に影響するのかを詳しく解説します。
- 就活生が企業ホームページをチェックする具体的なポイントとタイミング
- ホームページの質が志望度やエントリー率に与える影響
- 学生に選ばれにくい「NGなホームページ」の共通点
- 採用力を高めるために、まず着手すべき改善のステップ
就活生は「企業ホームページ」を意外と見ている

多くの企業が「ナビサイトに情報を載せているから十分だ」と考えがちですが、学生の視点は異なります。
単に募集要項を確認するだけでなく、企業の「本質」を見極めるためのツールとしてホームページが活用されている実態を詳しく見ていきましょう。
就活生が企業選びでチェックしているポイント
学生はホームページを通じて、ナビサイトの定型フォーマットでは伝わりにくい「企業のリアル」を探っています。
特に企業研究の段階では、以下のポイントが重視されています。
- 事業内容と実績:自分が入社して携わるビジネスの具体性
- 企業理念とトップメッセージ:企業の価値観や将来の方向性
- 社風・職場の雰囲気:数値化できない「居心地」や「人間関係」
実際に好印象を持った理由として、「先輩社員の紹介が豊富」「仕事内容が具体的に記載されている」といった、「自分が働く姿を具体的にイメージできるかどうか」が共通点として挙げられています。
「とりあえず求人を見る」だけでは終わらない理由
学生にとってホームページは、単なる「求人情報の確認場所」ではなく、「信頼性の最終確認の場」です。
調査結果では、企業探しにはナビサイトが活用される一方で、「志望企業の研究に有益な情報源」としては個別企業のホームページが63.1%で最多となっています。
ナビサイトで候補を絞り込んだ後、その企業にエントリーするか、あるいは内定を承諾するかという「意思決定の瞬間」に、ホームページの情報が決定打となっているのです。
ホームページの印象が志望度に影響するという調査結果
ホームページの質は、学生の志望度に直結します。
学生からは以下のような厳しい声も挙がっています。
- 「採用にあまり力を入れていない=新卒への待遇も不安」
- 「時代の変化に追いついていない印象を受ける」
- 「ITリテラシーや業務の切羽詰まり具合を疑ってしまう」
つまり、ホームページを適切に更新・管理できていないことは、それだけで優秀な学生を取りこぼす大きなリスクとなっているのです。
なぜホームページが就活生の集客につながるのか

求人媒体やナビサイトは、あくまで学生と企業が出会うための「入り口」に過ぎません。
そこから一歩踏み込んで、「この企業にエントリーしよう」という意欲を醸成し、集客へと繋げる役割を担うのがホームページです。
学生はナビサイトで得た断片的な情報を、自社サイトを通じて立体的な理解へと深めていきます。
求人媒体・ナビサイトだけでは伝えきれないこと
多くの学生にとって、ナビサイトは「企業を探す」ための有益なツール(76.3%)ですが、より深い「志望企業の研究」においては、個別企業のホームページが最も有益(63.1%)だと考えられています。(参考:株式会社キャリタス 2025年卒 採用ホームページに関する調査より)
ナビサイトは情報のフォーマットが固定されているため、企業の独自性を出すには限界があります。
一方、自社ホームページであれば、以下のような「媒体だけでは伝えきれない情報」を網羅できます。
- 独自のビジョンやカルチャーの視覚的な表現
- 職種ごとの詳細なキャリアパスや教育制度
- 最新のプロジェクト事例や実績の詳細
学生は、こうした深掘りされた情報を求めてホームページを訪れます。
ホームページは企業の“本気度”が伝わる場所だから
学生はホームページの質を通じて、その企業の「採用に対する本気度」や「学生を迎え入れる姿勢」を敏感に感じ取っています。
調査によると、ホームページのデザインや情報が古い場合、学生は「採用に重きを置いていないのではないか」「新卒への待遇や社風に不安を感じる」といったネガティブな印象を抱くことがわかっています。
- 「企業の顔であるサイトに手が回らないほど、業務が切羽詰まっているのか」という懸念
- 「時代の変化に追いついていないのではないか」という不信感
このように、適切に管理されたホームページは、それ自体が「健全で将来性のある企業である」という信頼の証となります。
エントリー前の「最終判断材料」になっている
学生がホームページを最も熱心に閲覧する時期は、12月から採用広報が解禁される3月にかけてで、約7割の学生がこの時期にサイトをチェックしています。
これは、エントリーシート(ES)の作成や面接対策など、具体的な選考への応募を判断するタイミングと一致します。
特にエントリーの判断段階では、以下のコンテンツが注視されています。
- 事業内容・実績(66.7%)
- 待遇・福利厚生・ワークライフバランス(66.6%)
「興味がある」という状態から「応募する」という行動に移すための、いわば背中を押す「最終判断材料」としての役割をホームページが果たしているのです。(参考:株式会社キャリタス 2025年卒 採用ホームページに関する調査より)
就活生の集客につながるホームページの特徴

志望度の高い学生を惹きつけるホームページには、単に「綺麗である」こと以上の、学生の心理に寄り添った機能と表現が備わっています。
最新の調査から見えてくる、学生が「この会社、いいかも」と感じるポジティブな要素を紐解いていきましょう。
第一印象で「ちゃんとしていそう」と感じさせるデザイン
学生がサイトにアクセスして最初に受ける「第一印象」は、その後の情報収集の意欲を大きく左右します。
デザインが整っていることは、学生にとって「この会社は管理がしっかりしており、誠実な組織である」という直感的な信頼(ちゃんとしていそうという感覚)に繋がります。
就活生目線で整理された情報設計
どれだけ豊富な情報があっても、必要なものにすぐに辿り着けなければ意味がありません。
具体的には「自分が募集対象となる職種情報がどこにあるか」「福利厚生の実態がどこに載っているか」といった、学生が知りたい項目へ迷わずアクセスできるナビゲーションや情報整理(UI/UX)が、エントリー率を高める鍵となります。
社員・仕事・会社の雰囲気が伝わるコンテンツ
現在、学生が最も求めているのは、数値や制度だけでは見えてこない「社風」や「日常のリアル」です。
成功している採用サイトでは、社員インタビューにおいて成功体験だけでなく「仕事の難しさ」や「1日のタイムスケジュール」を公開するなど、等身大の情報を開示しています。
こうした「自分もこの環境で働けそうだ」という納得感を与えるコンテンツが、集客とマッチングの質を同時に向上させます。
これから新卒採用を始める企業がまずやるべきこと

新卒採用を成功させるためのホームページ作りは、単に「綺麗なサイトを作る」ことではありません。
まずは現状を把握し、ターゲットとなる学生に響くメッセージを整理することから始めましょう。
2025年卒の学生は、3年生の5月頃から早くも採用サイトを閲覧し始めており 、準備のスピード感も重要です。
今あるホームページで足りない部分を整理する
まずは自社のサイトが、学生が求める情報の基準を満たしているか客観的にチェックしましょう。
最新の調査では、デザインや情報が古いと感じるだけで、約9割(87.8%)の学生が「志望度が下がる」と回答しています。(参考:株式会社キャリタス 2025年卒 採用ホームページに関する調査より)
特に、以下の要素が欠けていないか確認が必要です。
- 情報の鮮度:昨年度の募集情報のままになっていないか。
- デバイス対応:PC中心の閲覧が4割強である一方、スマートフォン中心も3割存在するため、どちらでも快適に見られるか。
- 情報の深さ:単なる会社概要だけでなく、学生が志望度を決める際に重視する「事業内容、実績」や「待遇、福利厚生」が具体的に記載されているか。
就活生に「何を伝えたいか」を言語化する
他社との差別化を図るためには、自社ならではのメッセージ(採用コンセプト)を明確に打ち出す必要があります。
「採用ホームページ好感度ランキング」で1位となったニトリの事例では、「君の夢は、君を創る。」というキャッチコピーに基づき、事業内容や社員のキャリアが非常に分かりやすく表現されています。
学生に響く言語化のポイントは以下の通りです。
- 一貫性:ホームページとパンフレットのデザインやストーリーを繋げ、企業の姿勢を一貫させる。
- 具体性:抽象的な言葉ではなく、社員の1日のスケジュールや具体的な業務エピソードなど、働くイメージが湧く言葉を選ぶ。
小さく改善しながら集客につなげる考え方
最初から完璧な採用サイトを目指す必要はありません。
学生の閲覧時期に合わせて、段階的にコンテンツを充実させていくことが現実的です。
調査によると、採用ホームページは3年生の5月から閲覧が増え始め、12月から翌3月にかけてピーク(約7割)を迎えます。
- 早期(5月〜):まずは「事業内容」や「企業理念」を整え、インターンシップ応募層にアピールする。
- 直前期(12月〜):エントリーを判断する学生向けに、「待遇、福利厚生」や「仕事のリアル」が伝わるコンテンツを追加する 。 このように、学生が企業研究をしたいと思った時にいつでも必要な情報にアクセスできる状態を「長期的に」維持することが、安定した集客への近道です。
まとめ|就活生集客においてホームページは“見られている”

本記事で解説してきた通り、現在の新卒採用において、ホームページは単なる情報の掲載場所ではなく、学生の志望度を左右する強力なブランディングツールです。
ナビサイトで企業を知った学生のほとんどが自社サイトを訪れ、その内容から「企業の真実」を読み取ろうとしています。
就活生は企業の姿勢をホームページから感じ取っている
学生にとって、ホームページの質は「自分たちをどれだけ大切に迎えてくれようとしているか」という、企業側の姿勢の現れです。
「採用ページが更新されていない=新しい人材を求めていないのではないか」「時代の変化に無頓着なのではないか」という不安は、優秀な学生がエントリーを辞退する決定的な要因になり得ます。
逆に、社員のリアルな声や具体的な仕事内容が整理されたサイトは、学生に「ここで働きたい」という強い動機付けを与えます。
志望企業の研究に最も有益な情報源として「個別企業のホームページ(63.1%)」が選ばれていることからも、その影響力は疑いようがありません。
採用のためのホームページは、長期的な資産になる
採用活動のために構築・改善したホームページは、一度作って終わりではなく、蓄積されていく企業の「資産」です。
2026年卒以降の採用市場も、引き続き企業側の採用意欲が強く、厳しい「売り手市場」が続くことが予想されています。
このような環境下で、ナビサイトの広告費を払い続けるだけでなく、自社サイトに良質なコンテンツを積み上げていくことは、以下のような長期的なメリットをもたらします。
- 早期接触の実現:3年生の5月という早い段階から情報収集を始める学生との接点を持てる。
- ミスマッチの防止:具体的な仕事の難しさや社風を伝えることで、共感度の高い学生が集まりやすくなる。
- 採用コストの最適化:自社サイトでの集客力が強まることで、外部媒体への依存度を中長期的に下げることができる。
まずは今のホームページを学生の目線で見直し、小さな改善から始めてみてはいかがでしょうか。その一歩が、数年後の採用成功を支える大きな力となるはずです。

